金銭的報酬や環境団体への寄付といった
インセンティブが投稿行動に与える影響について
調査した研究結果をご紹介します。
大阪大学、国立環境研究所の研究チームは、
いきものコレクションアプリ「Biome(バイオーム)」を
運営する株式会社バイオームの協力を得て、
動植物の写真投稿を促すためのインセンティブ手法の
効果を評価するため、参加同意を得た830名の
ユーザーを無作為に以下の3グループに分類。
(1) 投稿1件ごとに環境団体に10円が寄付される「寄付型インセンティブ群」
(2) 投稿1件ごとに10円分の金銭クーポンが与えられる「金銭型インセンティブ群」
(3) インセンティブなしの「対照群」
この3つのグループごとの投稿の違いとは?
詳しくはリンク記事でご確認ください。

\行動科学×生物多様性保全/ 寄付型/金銭型インセンティブによって 「いきもの写真」のアプリ投稿行動が変化 – ResOU
大阪大学感染症総合教育研究拠点 佐々木周作特任教授(常勤)、及び国立環境研究所 久保雄広主任研究員らの研究チームは、いきものコレクションアプリ「Biome(バイオーム)」を運営する株式会社バイオーム(代表取締役:藤木庄五郎)の協力を得て、動植物の写真投稿を促すためのインセンティブ手法の効果を評価し、インセンティブの種類によってユーザーの投稿行動の“量”だけでなく“中身”も変わる可能性を発見しました。
本研究では、参加同意を得た830名のユーザーを無作為に3グループに分け、
(1) 投稿1件ごとに環境団体に10円が寄付される「寄付型インセンティブ群」
(2) 投稿1件ごとに10円分の金銭クーポンが与えられる「金銭型インセンティブ群」
(3) インセンティブなしの「対照群」
という条件で投稿数を比較しました。
その結果、金銭型インセンティブからは投稿数を大きく増やす効果が確認されました。一方、寄付型インセンティブは、投稿数全体を増やす効果は見られなかったものの、珍しい種の投稿割合を高める傾向が示されました。インセンティブの種類によって投稿行動の“量”だけでなく“中身”も変わる可能性が示された点が、重要な知見です。
生物多様性の保全には、どこにどのような種が生息しているかを把握するためのデータ収集が不可欠です。本研究は、こうしたデータ収集を市民の力で支える「市民科学」によって、インセンティブ設計が投稿行動の量や内容に与える影響をフィールド実験で実証した、世界的にも稀有な研究です。保全政策の目的に応じた投稿促進手法として、今後の活用が期待されます。
本研究成果は、国際学術雑誌『Ecological Economics』に採択され、2025年4月に出版されました。
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