学習ニュース拾い読みのアイキャッチ画像

「見えない建物被害」も見抜く!? 水害後建物被害評価AIの新たなベンチマークを開発|大阪大学

自然災害が発生した際には、迅速かつ正確な
被害評価は不可欠ですが、AIを活用した衛星画像の
解析を利用しても、現時点では災害発生直後に、
精度の高いラベル付けされた大量の訓練データを
入手することが困難であることや、
水害による建物の損傷は衛星画像上では非常に微妙な
変化としてしか現れないという問題があります。

大阪大学の研究チームは、この課題に対処するため、
画像レベル一貫性正則化(SSL)と
事前アテンションメカニズム(教師あり学習)という
2つの核となる要素を持つフレームワークを開発。

詳しくはリンク記事でご確認ください。

\「見えない建物被害」も見抜く!?/ 水害後建物被害評価AIの新たなベンチマークを開発 – ResOU
大阪大学大学院工学研究科のYU Jiaxiさん (2025年3月博士前期課程修了)、福田知弘教授、矢吹信喜名誉教授(現・東京都市大学特任教授)の研究グループは、水害後の建物被害を迅速かつ正確に評価するための新たなAI技術を開発しました。本技術は、ラベル付きの訓練データが限られるという災害時の典型的な課題に対応するため、深層学習と半教師あり学習を組み合わせた点が特徴です。 迅速かつ正確な建物被害評価(BDA)は効果的な災害対応に不可欠ですが、災害直後に大量のラベル付きデータを入手することの困難さや、衛星画像における被害の兆候が微妙であるという課題に直面しています。既存の深層学習による変化検出(Change Detection)モデルは、再現率が低い、あるいは被害レベルを誤分類する(例:「全壊」を「被害なし」と誤認する)といった問題がありました。これらの課題に対処するため、本研究はまず水害後評価に特化したベンチマークを確立し、教師あり学習モデルの転移可能性と半教師あり学習(SSL)の性能を体系的に評価しました。 研究の結果、「疑似ラベル」(pseudo label)から生成された参照分布を用いる画像レベル一貫性正則化を伴うSSL戦略が、データが乏しい状況(例:ラベル付きデータが5%のみの場合、カッパ係数(Kappa)が平均1.17%向上)においてモデルの性能を著しく向上させることが判明しました。 さらに、従来の変化検出モデルが持つ低リコールの限界を克服するため、「SPADANet」と名付けたシンプルで軽量なAIモデルを新たに提案しました。このモデルは「事前アテンション(Prior Attention)モジュール」をU-Netアーキテクチャに統合したものです。実験により、SPADANetは精度とのトレードオフがあるものの、再現率において著しい改善(最も性能の良いベースラインモデルを9.22%以上上回る)を達成することが示されました。また、実際には被害が発生しているにも関わらず「被害なし」と誤分類するケースは好ましくありませんが、SPADANetはこのようなケースを減らすように設計されているため、災害対応の要求により適しています。 本研究成果は、2025年7月24日(木)(日本時間)に、学術雑誌「International Journal of Disaster Risk Reduction」(Elsevier社)にオンライン掲載されました。
resou.osaka-u.ac.jp

[PR]