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浄土真宗の戒めが「ひのえうま」の男女比の歪みを抑えた|大阪大学

「ひのえうま(丙午)」は、干支の組み合わせの
43番目であり、江戸時代に生まれた迷信により、
かつては生まれた男児の出生届を前後の年に
ずらして届け出るということもありました。

丙午|Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/丙午

大阪大学の研究グループは、1966年の丙午の際に
子どもの出生数が激減したことが知られており、
1906年と1846年の世代は男女比に歪みが
生じているなどの状況があるものの、
この男女比の歪みは地域間で大きな違いがあることから、
その要因のひとつに浄土真宗が堕胎や嬰児殺を
厳しく戒めたのではないかと仮定し、
明治期の人口統計、寺院統計、その他社会経済変数に
関する統計資料を組み合わせ、双方向固定効果推計法や
操作変数法と呼ばれる計量経済学の手法を用いて分析。

その分析結果からわかったこととは?
詳しくはリンク記事でご確認ください。

浄土真宗の戒めが「ひのえうま」の男女比の歪みを抑えた – ResOU
大阪大学大学院国際公共政策研究科の石瀬寛和准教授は、浄土真宗の寺院が他の宗派の寺院に比して多い県で1846年と1906年の「ひのえうま」世代の男女比の歪みが小さいことを統計的に示し、「浄土真宗は嬰児殺を戒めた」という歴史学・人口学の仮説を裏付けました。 「ひのえうま」伝承はその年生まれの女子を避ける迷信で、近世近代において広範に見られた嬰児殺の習慣も手伝って、1846年「ひのえうま」世代は40歳時点で女性100人に対して男性が120人と通常より10ポイント以上高い比率を示しています。この歪みは県による差も大きく、平常年とほぼ変わらない県もあれば、平常年よりも20ポイント以上高い県も見られます。本研究では「浄土真宗は堕胎間引きを強く戒めた」という歴史学・人口学で知られた仮説と組み合わせることで、1846年と1906年の県別の「ひのえうま」による歪みは浄土真宗の影響が強かった地域においては小さかったということを統計的に示しました。 本研究成果は、「失われた女性」の文脈では同一宗教内での宗派やその教義への考察が重要であることを示唆しています。またこれに限らず、宗教の社会経済変数への影響に関して、各宗教の諸宗派の教義の違いを踏まえた検証が必要であることを示唆しています。 この成果は2024年11月29日付けでJournal of Economic Behavior & Organization に掲載されました。
resou.osaka-u.ac.jp

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