コラム

郵便とインターネット

[PR]


これまでに通信制の大学で、
二度ほど学んだことがあります。
最初に学んだときは、科目受講は
郵便でレポートを送り、
さらに、対面の授業を一定期間受けるタイプ。
二度目は、主にインターネットで
配信される動画で学習するタイプ。

一度目と二度目の間には、
およそ20年の年月が流れています。
異なる時代に異なる通信手段で、
大学での科目履修を経験したので 、
それぞれの体験から、感じたことを書いてみたいと思います。

経験がある方にはわかるかもしれませんが、
それぞれの学習の仕方を簡単にご紹介しましょう。

●学習の仕方

(A)郵便と対面で学習していたとき

事前に、取得単位を計算しつつ
科目を選んだ表を郵送。
年度の初めに、選択した科目分の
大量の教科書や参考書とともに
レポート用紙などの郵送で送るためのセットが届きました。
(ずっしりと重い箱が届いた記憶があります)

基本的には、シラバスが掲載された本に沿って、
自宅で教科書の指定された部分を読み、
レポートを書き、課題を制作しました。
この期間は誰にも会いません。独学です。

スクーリングという対面授業の期間が設定してあり、
この期間に実技や体育科目などを履修しました。
スクーリング期間は、毎日通学し、
朝から夕方までみっちりと学びます。
テストもあり、テストを受験するために
大学に行く必要がありました。

(B)インターネットで配信される動画で学習していたとき

ウェブページに記載されたシラバスを確認して、
必要に応じて事前に教科書などは自分で準備しました。
1つの科目は基本的に半期(15週分)で履修し2単位。
その半分の期間で学べる科目もあり、
その場合の単位は1単位となります。

1週間ごとに受講する動画が配信されるので、それを履修。
1科目分の授業はだいたい60~90分の動画で構成され、
その動画は15分くらいずつに分割された形で視聴できました。
受講後は、BBSと呼ばれる受講者が利用できる掲示板に
受講の感想や疑問点などを投稿します。

さらにレポートを提出したり、テストを受験したりしますが、
ほとんどは大学に行くことなくネット上で完結する形になっています。
実技や実験が必要な科目を履修した場合は、
大学に行って授業を受ける場合もあります。

●それぞれで学んでみて

(A)郵便と対面で学習していたとき

レポートは手書き。
下書きしてからレポート用のフォーマットに
書き写していたので、時間がとてもかかりました。
(まだ、ワープロだけでパソコンがない時代(笑))
郵便で送らなければいけないため 、
締め切り(消印)を常に気にしていたので
ポストの集荷時間や郵便局の時間には敏感でした(笑)

本を読んでレポートを書くという授業の場合は、
誰かと学んでいるという感覚はなく、
授業というより読書といった感じでした。
与えられている教科書や資料を読むだけで精一杯だったかも。

全ての先生ではないけれど、赤ペンでコメントを入れて
レポートを戻してくださる先生もいらして、
その時に授業を受けた!という感覚になっていたかも。
つまり、受講の「時差」を感じていたかもしれません。

スクーリングは2か月程度の期間、みっちり通うので
学生気分がたっぷりと味わえました。
友達もできました。スクーリングで会う先生や、
キャンパスに提出に行ったときに話をした先生とは
顔見知りになることはありますが、
郵送で完結した先生には会えないので
印象に残っていなくて残念(^^;)

(B)インターネットで配信される動画で学習していたとき

動画が15分くらいずつになっているので、
都合のよいときに視聴できるのは便利です。
でも、私はまとめて視聴しないと忘れてしまうので、
1科目ごとに60~90分程度をまとめて視聴していました。

動画で見ているだけですが、先生に対する親近感がわきました。
こちらが動画で知っているだけなのですが、
実際に大学で見かけると声をかけたくなりました(笑)

BBSで意見交換ができる科目については、
受講生の方が見えて、授業を一緒に受けている連帯感がありました。
ただ、投稿のタイミングが人それぞれなので、
早く投稿する方の意見を読む機会は多いのですが、
ギリギリに投稿する方の意見は読めなかったり、
レスポンスできなかったりということもありました。

大学に行って履修する必要のある科目もとったことで 、
一緒に受講している皆さんと実際に会うことができ、
仲間がたくさんできました。
先輩や後輩とつながる仕組みもあったので、
入学年度にかかわらず、おなじ社会人学習者として、
つながりが持てるようになったのは予想外でした。

受講したことを補足するため、あるいは学びを深めるため、
さらにレポートを書くために、参考図書を結構読んだ気がします。
インターネットで受講する学び方のスタイルとして、
私の場合は、
「受講」+「本や資料での深める活動」
となっていたかも。
すべての授業ではなかったかもしれないけど(^^;)

●比べてみると

日々の受講においては、
インターネットで配信される動画で受講できるほうが
大学で学んでいる感覚は持てました。

学んでいた科目や、学んでいるときの年齢も
関係しているのかもしれないけれど。
それは、動画を通してだとしても、
話している言葉を聞いている瞬間にも
頭の中で履修している内容への思いや戸惑いなどの感情が動き、
それが深める活動につながっているのかもしれないとも思いました。

郵便と対面の時のように、
一定期間スクーリングでみっちりと大学に通い続ける経験は、
大学に対しての「思い」 みたいなものが
芽生える特別な時間だったかもしれません。
キャンパスのあちこちに思い出が残ります。
私自身も若かったこともあって、
青春の1ページ的な思い出です(笑)

両者で共通していることですが、
提出したレポートに反応(コメントなど)があった場合は、
印象に残っています。
先生と自分との間で、テーマについての
意見交換が成立した瞬間に、
学んでよかったなぁという思いが広がりました。
もしかしたら、学びの究極のところは、
通信手段は関係ないのかも。

とはいえ、臨場感は圧倒的なインターネット。
加えて 、時間をうまく使えるのも大きな利点です。

社会人が学ぶ場合 、仕事や家庭の様々な都合もあって
長期間スクーリングに参加する時間はなかなか取れませんしね。
そして、こうして書いてみると、どうやら私の場合は、
インターネットを利用するタイプの受講は、
学びを深める活動にも関係していたようです。


今日の四字熟語

物換星移(ぶっかんせいい)

世の中が移り変わること。物事は変わり、歳月が過ぎゆく意から。「物換」は物事が変わること。「星移」は歳月が過ぎること。「星」は歳月の意。「物(もの)換(かわり)星(ほし)移(うつる)」と訓読する。
(goo辞書より:https://dictionary.goo.ne.jp/idiom/

そういえば、郵便がちゃんと間に合ったかどうか、
いつも心配だったなぁ。
インターネットは提出済みがわかるような仕組みがあって、
その点は安心でした。

大人はどんな学び方をしたいのか、
どんな学び方がより深い学びにつながるのか。
私自身の経験も生かして、今後も探っていきたいと思います。


[PR]